大阪府は近年、観光客の増加によってインバウンド需要が飛躍的に伸びています。
その結果、ホテルや民泊に加えて不動産市場全体にも大きな変化が現れています。
そこで今回は、大阪府におけるインバウンド需要の拡大と不動産市場の動きをご紹介します。
大阪を訪れる外国人観光客の増加と背景
まず、大阪を訪れる外国人観光客数は2025年上半期に847万6,000人へ達し、前年同期比23%増という記録的な伸びを示しました。この急成長の要因には、2025年に開催される大阪・関西万博の影響が大きく、国内外からの注目が集まっていることが挙げられます。
次に、訪日客の構成を見ると中国が最多で251.9万人、続いて韓国や台湾、アメリカと続きます。とくに、東アジア圏からの来訪者が全体の6割を占めており、地域的な需要の偏りがうかがえます。
さらに、観光客一人当たりの消費額は約16万円にのぼり、年間で2兆5,000億円規模の消費が見込まれています。こうした高い消費力が大阪の経済を押し上げていることは間違いありません。
また、大阪が選ばれる背景には「食い倒れの街」としての独自の食文化や、梅田や難波といった主要エリアの利便性があります。京都や奈良へのアクセスの良さも、大阪が観光拠点として機能する大きな理由です。
加えて、滞在スタイルも多様化しており、ホテルだけでなく民泊や短期賃貸が増加しています。2024年時点で大阪府内の民泊届け出件数は6,000件を超え、二毛作運営を取り入れる事業者も登場しています。
インバウンド需要が不動産市場に与える影響
一方で、こうした需要は不動産市場にも直接影響を与えています。大阪市北区だけでも約500件の民泊物件が稼働しており、全国的に見ても突出した規模となっています。
また、ホテル開発も活発で、フォーシーズンズホテル大阪やウォルドーフアストリアなど、国際的な高級ブランドが次々と進出しています。これにより、大阪全体の観光基盤はさらに強化されているといえるでしょう。
さらに、海外投資家の資金流入も増加しており、2024年上半期の不動産投資額は5,500億円に達しました。従来は再生型の投資が中心でしたが、安定した賃貸住宅にも注目が集まっています。
加えて、地価や賃料の上昇も顕著です。大阪市の住宅地は前年より4.5%上昇し、商業地では10.6%という大幅な伸びを見せました。とくに、難波や天王寺といった主要エリアでの上昇率が高く、インバウンド需要の波及効果が明確に表れています。
今後の展望と不動産投資のポイント
今後については、インバウンド需要の持続的な成長が予測されています。
2030年には観光客2,000万人、消費額5兆円を目標としており、統合型リゾート(IR)の開業も控えています。加えて、梅田のグラングリーン大阪など再開発エリアは資産価値の上昇が期待されます。
また、北区や西区を含む都心6区は安定した賃貸需要を背景に、投資先として注目されています。
しかし、民泊新法による営業日数制限など、法規制には注意が必要です。大阪市の特区民泊制度を利用すれば有利な運営も可能ですが、条例の動向を見極めながら投資判断を下す必要があります。
さらに、投資には長期的な視点が欠かせません。人口流入が続く大阪市では賃貸需要が安定していますが、空室リスクや金利変動リスクも存在します。したがって、リスク分散を意識した戦略が重要だといえるでしょう。
最後に、大阪の旅行消費に占める訪日外国人の割合は全国トップであることから、地域性を生かした不動産運用が不可欠です。観光資源との連動や立地特性を意識した投資が、今後の成果につながると考えられます。
まとめ
大阪では観光客の増加を背景に、ホテルや民泊の開発が進み、不動産市場も活況を呈しています。
さらに、海外投資家の参入や地価上昇が見られ、インバウンド需要の影響は今後も続くと見込まれます。
したがって、大阪での不動産投資を検討する際は、成長の可能性と法規制の両面を踏まえた戦略が求められます。